医療系、心理学系で働く人や学ぶ人にとって、高次脳機能とはなにか、ということを理解しているのは重要です。しかし、そのとっつきにくさでなかなか理解が進みません。
そのような高次脳機能について、順を追ってわかりやすく解説をしました。
記憶の分類 – 内容と時間による分類の違い
記憶というのは、ある出来事や知識を保持する脳の機能です。記憶と一言でいっても、例えば昨日の夕ご飯に食べた料理の内容、教科書で学んだ歴史上の出来事、自転車に乗る技能などはそれぞれ異なった記憶の種類になります。
特に記憶の種類には時間による分類、即時記憶、近時記憶、遠隔記憶などや内容においては陳述記憶、非陳述記憶などに分けられます。これを詳しく説明したのが次の記事になります。
記憶の時間による分類
次のリンクが記憶の時間による分類を説明しています。記憶の時間による分類は心理学と神経学によってその言葉が異なっているのが要注意です。
記憶の内容による分類
こちらは内容による分類です。わかりにくい言葉をすっきり整理しています。ワーキングメモリあるいは作業記憶については、この範疇に入れるものではなさそうなので別にまた説明をします。
失語症の分類
代表的な失語症、例えばブローカ失語やウェルニッケ失語などは比較的わかりやすいとは思いますが、超皮質性失語、伝導失語、健忘失語などの言葉の定義まで覚えようとするとなかなか骨が折れます。
それについてわかりやすく説明したものが次のリンクになります。しっかり要点を抑えていけばきっとスッキリするでしょう。
失行や失認について
失行や失認についてはとても難しい分野です。例えば麻痺のある患者さんから肢節運動失行を評価するなどの難しいこともありますし、そこまで遭遇する率が高くない(むしろ滅多にであうことがない)分類もあり、知っているけどほとんど経験したことがないものもあります。また専門家や時代の変遷によって定義が変化することが多いのもこの分野の特徴です。
ただ、知らなければその症状を見出すことすらできないので、臨床に行く前には知っておくことが必要です。なるべく初心者にもわかりやすく説明したものが次のリンクになります。
まずは失行です。
次に失認です。失認では特に視覚失認の分野で定義が変遷していますので、新しく知っておく必要があるかもしれません。
半側空間無視は日常生活に危険が伴う
半側空間無視の概念は比較的わかりやすいものです。対面診察でも短時間でその症状の有無について判断をすることができます。
症状が評価できたら、日常生活の危険回避のための対策を立てることも重要です。片側への注意が向かなければ向かってくる車に気が付かない、側溝に落ちてしまう、人にぶつかるなど、自分が怪我をしたり、他人を怪我させてしまうことにもなりかねません。
この半側空間無視について説明したものが次のリンクになります。
遂行機能障害、いくつかの評価方法
遂行機能は物事の計画を立てたり、その計画をすすめる順序立てて実行するために必要な能力です。また意思決定や思考の柔軟性、あるいは計画を実行するための他の人との調整などにも関わってきます。その機能は脳の前頭前野という部分が重要な役割を果たしています。
人が社会生活をする上でとても重要な遂行機能、純粋にその能力を評価することはとても困難です。そんな中で、遂行機能の他覚的な評価方法についていくつか提唱をされています。
これを初心者の方向けに説明したものが次のリンクになります。
高次脳機能は概念的な内容が中心ですので、とっつきにくい印象があります。知識が整理されてないうちにその症状のある患者さんとの診察やリハビリを経験しても、その症状があるという判断がつかなかったりすることもあります。
しっかりと知識を整理した上で患者さんと向き合い、実際に経験をすることでよりしっかりと理解がすすみます。この記事が高次脳機能の入り口に立ち始めた学生さんや働き始めたばかりの医療スタッフさんの役に立ちましたら幸いです。