今回は日本でも割と人気のスポーツ、卓球について紹介をします。東京オリンピックでも盛り上がりましたね!オリンピック選手レベルになると、超人的なスピードでボールを打ち返しています。普通の人であのレベルはできるはずはありませんが、卓球を普段していない人にとっても楽しみやすいスポーツです。
普段の診察でもパーキンソン病の患者さんに薬とともに運動をすすめています。運動は治療の一つでもあります。卓球は体力とともに素早い反応が必要です。来るボールに対して素早くラケットを出す、回転を見極めるなどの一瞬の判断力など、とても頭を使うスポーツとしても知られています。
卓球の効果は海外でも注目をされていますが、最近日本からもその効果を裏付ける発表がされています。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2590112520300542
パーキンソン病と卓球について
福岡大学から論文です。
12名トライアルに参加して9名の追跡ができています。週1回で、準備運動を入れた6時間の運動プログラムをやっています。
運動症状のスコアというのは、日常生活においてどのくらい不自由があるか、というアンケート形式のものと、診察で一つ一つの症状を評価するものがあります。
そのアンケート形式のスコアと身体診察による評価、そのどちらもで3ヶ月後、6ヶ月後に症状が改善をしていました。特にパーキンソン病のお薬を新たに内服するわけでもないとのことです。
研究への参加者の数が少ないので、この論文の信頼性としてはやや劣ってしまいます。しかし、とても期待が持てる結果です。
パーキンソン病患者のための卓球世界選手権が開催
最近ではパーキンソン病のある卓球選手による世界大会が開かれています。
2020年に開かれるはずだった第2回の世界大会が新型コロナウイルスの関係で、2021年9月にドイツのベルリンで行われる予定になっています。
今年の世界大会のホーページです。
https://ittffoundation.org/programmes/tt4health/2021-ittf-parkinsons-world-table-tennis-championships
第1回はニューヨークで2019年に開催をされていました。
このリンク先の記事は入賞者の順位が掲載をされていますが、日本からの参加者も入賞していますね。おめでとうございます!!
https://www.butterfly.co.jp/takurepo/tournament/detail/013395.html
開催の経緯 – 卓球による症状の改善効果への期待
この世界大会の理念にはミュージシャンであり、パーキンソン病患者でもあったネナド・バッハさんが国際卓球連盟に提唱したことによって実現したとのことです。
詳しくは次のリンクの記事に書いてあります。
https://www.butterfly.co.jp/takurepo/other/detail/006835.html
Nenad Bach氏はクロアチアのザグレブ出身。ニューヨークに住み、ミュージシャンとして活動していた。しかし、2010年にパーキンソン病にかかったことで、その音楽生活は暗転した。指先の動きに障害があらわれ、ギターは弾けなくなっていった。また、まっすぐ立つことも困難になってしまった。加えて、声を出すことすら難しくなってしまった。
https://www.butterfly.co.jp/takurepo/other/detail/006835.html
ネナド・バッハさんは2010年にパーキンソン病を患ってしまいました。仕事してのギターも、そしてまっすぐ立ったり声を出すことすらも難しくなったとのことです。
卓球を始めて症状が改善
しかしネナド・バッハさんは2016年に卓球を始めたことによって、再びギターを弾けるようになり、またまっすぐ立ったり声を出すこともできるようになりました。
2016年、Nenad Bach氏は卓球を始めた。子どもの頃に遊びでやっていた卓球を、再びやってみる気になったのだ。すると、歓迎すべき変化があらわれた。卓球をするようになってから、症状が改善する気配を感じたのだ。そこで、卓球をする頻度を増やしていったところ、症状は明らかに改善し、なんとギターが弾けるまでに回復。まっすぐ立てるようにもなった。声も出せるようになった。
https://www.butterfly.co.jp/takurepo/other/detail/006835.html
2018年には国際卓球連盟の関係者に弾き語りをしたというのですから驚きです。2010年にパーキンソン病を発症したとのことであれば、すでに8年を経過しています。
卓球というスポーツは経験者と初心者の力の差があまりに大きな競技です。世界大会を見ると、小さいボールで人間業とは思えないような攻防を繰り広げています。
ネナド・バッハさんは子どもの頃に遊びでやっていた程度の卓球ということですから、ほぼ初心者に近い経験だと考えられます。
つまり、経験者が卓球を続けるということではなく、初心者でも運動の改善が期待できる、ということだと思います。
今の新型コロナウイルスの状況もあり、なかなか難しいかもしれませんが、これからの卓球の効果としての科学的なエビデンスが期待されます。
ぜひ運動は楽しんで行いましょう。