論文作成・統計

論文の雑誌選び

論文をどの雑誌に投稿するかについては、とても難しい問題です。自分はこっちがいいと思っているのに、指導の先生は違う分野の雑誌に投稿するかもしれません。またある分野の雑誌に出し続けても全然通らなかったのに、分野を変えて出してみたら案外あっさりとアクセプトされた、なんてこともあります。

なかなかわかりづらい、論文がどのようにできていくのかということに関して、これまでの経験から論文をかきあげてからの流れを書いていきます。

論文の大半は英語で書きます。分野によるかもしれませんが、世界のスタンダードは英語なので、日本語で書いてもあまり評価はしてもらえません。過去には日本ではじめての発表だったはずの大発見が、日本語だったためその成果が認められていなかったことがいくつもあります。

研究をして、データを取って、原稿を書いて、図表を書いて、何度も改訂をして、苦労して書き上げた英語論文をいざ雑誌社に投稿しようとなります。ここまで数ヶ月から年単位の過程があります。

その論文をどの系統の雑誌に出すかを考える

新米びーたん

わぁ、たいへんそうだなぁ!

多くの研究者より知名度や信頼性が高いといわれる雑誌から投稿しますが、どの分野の雑誌に投稿するかも重要です。より専門性の高い雑誌に出すのか、あるいは広く扱っている雑誌にだすのか。

たとえインパクトファクターが低くても専門性の高い雑誌に出せば、その分野の専門家たちにその記事を読まれることも多いかもしれませんし、そのジャーナルに乗っている、というだけでどういう分野の論文なのかが読者にもわかりやすいです。

一方で、より広い範囲のテーマを扱っている雑誌であれば、多くの読者に読まれる可能性もありますし、だれもが知っているような権威ある雑誌であれば、あの雑誌に通ったということで研究者としての箔がつく可能性もあります。

またオープンアクセスジャーナルに出すかどうかも決めたほうがいいです。オープンアクセスのメリットは世界中のだれでもが自分たちの論文をダウンロードが出来るようになるということです。そうでない論文は大学や研究所が購読契約をしていないと無料で読めません。購読契約のない論文一つに数千円も払わなくてはいけなければ読まれる数も少なくなります。そうすると引用されることが少なくなってしまいます。オープンアクセスのデメリットはアクセプトされたらだいたい30万円以上の費用がかかります。オープンアクセスのメリットは研究費などで出してもらえるのかどうか、投稿をする前にボスに確認しましょう。

超一流誌のScienceやNature、臨床医学系であればNew England Journal of MedicineやLancetという雑誌が有名です。この当たりは最難関ですので、よっぽど質の高い研究でないと通りません。

だいたい自分の論文の価値で、どの雑誌に合いそうか、あるいはどの程度の有名な雑誌からチャレンジをできそうか、などということを考えます。経験豊富な指導者の先生と相談することが大切です。

オープンアクセス費用を稼ぐ目的の質の低いハゲタカジャーナルに投稿するのは絶対にやめましょう。まともな査読がなく、業績に傷がつくだけです。

投稿規定をみて、体裁を確認する

投稿する雑誌を決めたらまず投稿規定をみます。その雑誌のルールみたいなもので、文字数や図表の数、体裁などが事細かく書いてあります。書いた原稿がこれに沿っているか確認をして、違うところがあれば直します。

せっかくたくさん書いたのに、字数や図表を減らさなくちゃいけないこともよくあります。

投稿規定をみて、字数やreferenceの数の関係で内容を大きく削らなくてはいけないなどがある場合、内容は変わってしまいそうなくらいであればいっそ投稿する雑誌を変えることも検討したほうがいいです。その雑誌の求めている論文と、投稿しようとしている論文がマッチしていない可能性が高いからです。

そしていざ投稿画面をひらきます。昔は郵送でやっていた時代もあったようですが、今の時代はすべてオンラインで完結します。雑誌社への投稿はScholarOneやEditorial Managerという名前の投稿システムが採用されているので、どの投稿画面は同じような感じです。

入力画面を開いて、書いてある英語にしたがって入力をしていきます。共著者(一緒に研究をした同僚やボス)の名前や所属、メールアドレスなどを入れていきます。あともう一息、これまでの苦労が蘇ってきます。これがいちいち大変ですが、仕方がありません。

投稿は一つの雑誌のみです。2つの雑誌に並行して出すことは絶対にやめましょう。

これまでの一つ一つだして、結果を待つという作業が研究者にとってとてもストレスなので、最近は出版社の系列雑誌のいくつか中から適切な雑誌にマッチするような仕組みも出てきています。またbioRxivのようなプレプリントサーバーで査読前論文を公開したりする流れもあったりします。もちろんこれにもメリットとデメリットがありますので、慎重に考えたほうがいいでしょう。

この記事がお役に立ちましたら幸いです。