太極拳には運動症状を改善させて、転倒予防にもなるという報告があります。今日はそれを脳神経内科医の立場から是非紹介しようと思います。そして太極拳をぜひやってみましょう。
- 2012年に一流学術雑誌にパーキンソン病に対する太極拳の効果が発表されました
- パーキンソン病で運動症状が改善していました
- この研究では転倒も減っていました
太極拳って公園でたまにみかけるね!一度やってみたいんだよね
太極拳とパーキンソン病
2012年に一流誌(New England Journal of Medicine)に驚きの論文が発表されました。
https://www.nejm.jp/abstract/vol366.p511
姿勢の安定性や身体機能の改善
専門家の間ではいまさらか、という話かもしれませんが、太極拳週2回60分のプログラムを24週間(約半年間)を続けることによって、運動症状が改善していた、というものです。
この研究では太極拳とレジスタンストレーニング(筋トレ)、そしてストレッチの3つのグループ、65名ずつの参加者で比較をしています。
太極拳では姿勢の安定性や身体機能の改善に寄与していました。レジスタンストレーニングに比較しても評価する指標により同じくらいか、あるいはそれ以上の効果があることがこの研究でわかりました。
一方ストレッチだけの効果としては、太極拳やレジスタンストレーニングに比べても劣っていました。
もちろんなにもやらないよりはいいでしょう。
転倒の予防にも効果あり
大事なことは、太極拳のグループではストレッチのグループより転倒が少なかったとのことです。
転倒で骨折したりすると、生活できるレベルが一気に落ちてしまいます。
日常生活で転倒に気をつけることは大事ですが、転びにくい体作りというのも大事です。
この研究を研究をきっかけに、運動の大切さとともに運動の種類はどういうものがいいか、ということにも注目が集まってきました。
NHK健康チャンネルでも詳しく紹介をされています。
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1140.html
そこにはこのように書かれています。
太極拳の動きには「あらゆる関節が同時に動き続けている」という特徴があることが分かりました。頭・腕・足など、体のそれぞれが、常にとどまることなく、同時に動き続けているのです。さらに、こうした複雑な動きの中でも、体が地面にかけている「圧力の中心」が、常に両足の間付近にとどまり、安定が保たれている事も確かめられました。太極拳の動きとは、まるで複雑なパズルをするように、すべての関節を連動させるようなものであり、こうして培われるバランス能力こそが転倒予防のカギだというのです。
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1140.html
あらゆる関節が同時に動き続けている、という特徴があると書かれています。なるほど、と思いました。
パーキンソン病の運動には伸ばす、ひねるなどの動きがあるといいといわれています。またバランスをとる、というのも重要なんですね。
他にも効果のある運動がいくつもありますので、また紹介しますね
怪我に気をつけて運動をしよう
運動は運動症状の維持改善のためにとても重要です。
太極拳でみてきたように運動自体に生活で転倒をしないような予防効果があります。
しかし運動自体に転倒を引き起こしてしまう危険があります。
難しい場合には理学療法士などの専門家と相談をしながら行ってください。