- 半側空間無視は片側の空間に注意がいかない障害
- 簡単な診察方法は向かい合わせで、紐の真ん中をつまんでもらう
- 半側空間無視が左側ばかりな理由を考えてみる
半側空間無視はどんな症状でしょうか。ここではその症状について説明をします。
半側空間無視はどんな症状? – 日常生活では要注意
半側空間無視の症状は
人は世界を見るとき、左右を等しく見ています。
歩いているとき、右や左に電柱や止まっている車があればそれを避けることができます。
食事のとき、右に置いてあるお皿の料理も左に置いてある料理も食べることができます。
半側空間無視は、例えば歩いているときに左側にある電柱にぶつかったり、
左側にある料理を食べ残したりしています。
着替えのときに左側の袖だけうまく通らない、ということがあります。
ここで「左側」とつけていたのは、
半側空間無視のほとんどの場合は左側の半側空間無視が起きるからです。
つまり、ほとんどは右の大脳半球がダメージをうけることによってこの症状がでてきます。
その理由はまたあとで説明したいと思います。
日常生活では危険がいっぱい
患者さんは左側に注意がいっていない、という自覚はあまりありません。
なので、特に道路で歩いているときなどは要注意です。
左側に注意が向けられないので、人や電柱にぶつかることもあります。
左から来る車に気がつかないかもしれません。
また左側に側溝などがあったとしたらどうでしょうか。
重たい症状だった場合には車に乗ることを諦めるでしょう。
しかし症状が軽い場合、その症状があることに気がつかずに車を運転している場合もあるかもしれません。
簡単な診察の方法
症状をみるとき、長いひもの真ん中をつまんでください、というのが簡単な方法です。
私はベッドサイドで聴診器で真ん中を指差してください、と言ったりしていました。
そうすると、自分(診察する側の人)からみて、つまむ位置が左側にずれています。
患者さんの方からみると、左の無視があるので、つまむ位置が右へずれるのです。
長い線を二等分にしてください、と紙に書いてもらってもいいですし、
机で検査するいくつかの方法、例えば線分抹消試験や模写試験といった試験もあります。
時計を書いてもらってもいいです。右側に大半の数字を書いてしまい、左側がスカスカになっています。
次のサイトの図をみると、検査した時の結果がとてもわかりやすいです。
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/半側空間無視
なんで左側の無視だけなのか、やっぱり気になるんだけど
半側空間無視が左側ばかりな理由を考えてみる
なぜ左半側空間無視ばかりなのでしょうか。
人間の脳は右利きの95%以上、左利きでも3分の2以上は左側が優位半球だといいます。
優位半球というのは、言葉に関連する脳の領域があることをいっています。
以前は空間に対する注意は反対側の脳が担っているといわれてきました。
右側の脳は左側の空間を、左側の脳は右側の空間に対して、注意を向ける働きがあるのではないか、ということです。
優位半球の反対側を劣位半球といいます。
劣位半球の側は空間的な認知を行っているといいます。
よく右脳を鍛える、というのを聞きますよね。
空間的な認知を行っている右脳は左右両方の空間に注意を向けることができて、
左脳は右側のみにしか注意を向けることができない、
だから、右脳がダメージを受けると、左側のみの空間無視がでるのではないかという、
仮説が立てられています。
左利きで優位半球が反対だと右の半側空間無視が出る例も報告されています。
一方で、左利きの空間に対する注意を向ける左右の偏りが右利きよりバラけていて、半側空間無視が出にくいのではないか、という説もあります。
今日はここまでにしますね