カバーレターを疎かにしていませんか?
カバーレターを疎かにしていると損をしてしまいます。論文を初めて投稿する、あるいは2−3回目くらい目の投稿をする方向けに、カバーレターで損をしないための方法を説明します。
私はカバーレターをしっかり書くようにしてから、desk rejection率が格段に下がりました。
そんな方法をお伝えします。
カバーレターをどのように作っていますか
カバーレターの形式は英語の手紙と同じです。提出書類を渡すときなどの表紙のようなものです。海外で求人の応募で履歴書など出すときにも必須になるものです。
いわゆるビジネスレターと同じなので、形式はしっかり守りましょう。第一印象は大事です。
しかし、カバーレターを1から書くのは大変です。そのためインターネットで検索でテンプレートを探したり、すでに論文投稿の経験のある先輩にもらって少し内容を変えたりすることもできます。あるいは校正会社に作ってもらう、なんてこともできたりします。
このカバーレターに書くべき内容を指示しているジャーナルも多くあります。例えば、共著者全員の承認を得たか、他のところに投稿していないか、ゴーストライティングはないか、倫理委員会の承認を得ているか、COIはないか、などです。
このあたりは当然のように書いていたほうがいい内容になります。
カバーレターは論文をアピールする唯一の場所
見出しの通り、カバーレターはエディタへ論文をアピールできる唯一の場所です。日本人はこのアピールが足りない海外エディタからよく聞きます。
ジャーナルは多くの投稿論文を抱えている
一流誌になればなるほど、ものすごく多くの投稿を抱えています。実はeditorにとってreviewerを探すのも一苦労なのです。
そのため、次から次へさばいていかなくてはなりません。
これがdesk rejectionの多い原因です。まずは、external reviewに回らないとチャンスが巡ってきません。
Editorにしっかりアピールをしましょう。
Editorが論文を十分読み込むことができるか
ぜひ自分がエディタの立場になったと考えてみてください。次々と回ってくる論文を十分評価することができるでしょうか。
いわゆるAssociate Editorは、本業でも研究をしています。むしろ、研究の分野でもそれなりの地位にある人がなっています。回ってきた質の高いか低いかわからない論文に十分な時間は取れないはずです。
そんなエディタはまずどこを読みますか?一般的にはカバーレターとアブストラクトだと思います。
その後に図表や本文に目を通すかもしれません。しかし、図表や本文を目を通すときにエディタにはカバーレターとアブストラクトを読んだ時の先入観がすでに入っています。
ジャーナルによってはもうこの段階でdesk rejectionを決めているところもあります。カバーレターをおろそかにしていると損をするのはこの段階です。
いかに自分たちの研究が魅力的かアピールをしましょう
最初に述べたように形式も、必要な事項を書くのも大事です。
しかし、もっとも大事なのは、この研究がいかに魅力的なのか、インパクトがあるのかをエディタにわかってもらうことです。これがなければ先にすすめません。
せっかくいい仕事をしたのに、カバーレターのせいでいい印象を持ってもらえない、というのはとてももったいないことです。
日本人は自分の仕事に謙遜をしてしまう傾向にある人も多いのは事実でしょう。しかし、他の国の研究者たちは自分の研究がいかにすごいかをこれでもかというくらいに書いている場合もあります。
しっかりアピールをしていかにすごい研究か書かれているアブストラクトと、淡々と研究の内容を説明しているアブストラクト、どちらの方を外のreviewerにみてもらいたくなりますか?
アピールしてあるカバーレターですよね。
本文やアブストラクトはあくまでサイエンスに基づいた記述が求められます。これまでの過去の報告から現在の論文の立ち位置がどのあたりあるのか、ということでは書くことができますが、あまり「言い過ぎ」なことを書くとreviewerから大抵は評価が下がります。
言い過ぎなことをいうのは、過大広告と一緒でサイエンスとして妥当ではなくなってしまうからです。
カバーレターには思っていても伝えきれない重要性、というのをしっかりアピールできます。
ぜひ苦労して作り上げた論文ですから、カバーレターまで気を抜かずに頑張りましょう。