脳神経内科医が遂行機能障害についてわかりやすく説明をします。
- ウィスコンシンカードソーティングテスト – セットの転換
- トレイルメイキングテスト
- ストループテスト – 選択的な注意集中力
- 語流暢性 – 語想起課題と戦略性
遂行機能はなんて読むの?
遂行機能は「すいこうきのう」と読みます。英語ではexecutive functionで直訳すれば実行する機能となります。
ある目的を達成するために物事や複雑な行動を計画したり、実際に順序立てて効率よく行う機能になります。または行っている際の監視や中止も遂行機能の能力です。そして、遂行機能は高次脳機能のなかでも言語や記憶、認知したものなどを統合する役割を担っています。
まだよくわからないなぁ
もうすこし具体的に説明しますね。
ウィスコンシンカードソーティングテスト – セットの転換
一つには、頭の働きの柔軟性が遂行機能の大事な役割といわれています。
この柔軟性がなければひとつのことに固執をしてしまったりして、
状況の変化などに対応できなくなってしまいます。
例えば、時代の流れに沿わず昔成功したやり方を一切変えない会社の社長では、
きっとその会社は潰れてしまいます。
新しい情報や状況から適切に選択して、今までの方針から転換をしていかなくては、
社会生活を送るのは難しくなっていきます。
これにはウィスコンシンカードソーティングテスト(Wisconsin Card Sorting Test: WCST)という検査がよく使われます。
ある色、ある形がある個数(1-4個)書かれたカードを、カテゴリー(色、形、数)によって分類をしていくようなテストです。分類をしたときに正しいか間違いか、という手がかりをもとに選択を変えていきます。
言葉での説明は難しいので、一度実物を見たほうがわかりやすいかもしれません。
Wikipediaのリンクをのせておきます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89%E5%88%86%E9%A1%9E%E8%AA%B2%E9%A1%8C
トレイルメイキングテスト
トレイルメイキングテスト(Trail Making Test: TMT)は2種類の用紙があります。
一つは数字がバラけているもの、もう一つは数字とひらがながバラけているものです。
数字がバラけているものをTrail Aと呼び、
数字とひらがながバラけているものをTrail Bとよびます。
まずはAの数字だけのものを1から順番に線で結んでいきます。
できるだけ早く線を結んでいきます。
次にBの数字とひらがなを線でつなげていきます。
例えば、1→あ→2→い→3
という流れです。
セットの転換とともに、注意の切り替えも大事になってきます。
ストループテスト – 選択的な注意集中力
ストループテストはご存知でしょうか。
色についての漢字、例えば「黄」「赤」「青」「緑」と書かれており、
その文字には別々の色が振ってあったりします。
黄 赤 青 青 赤 緑
例えば、まずは色に騙されないよう漢字だけで呼んでいって、
その次に漢字に騙されないよう色だけで読んでもらったりします。
むずかしいぃぃ
注意を引きつけるものを抑制しつつ処理を行う注意集中力になります。
ついついつられちゃいますよね。
語流暢性 – 語想起課題と戦略性
よく用いられるのは「か」からはじまる言葉を1分間あげてもらいます。
ただし、人や土地の名前は含めないようにしています。
また、動物を1分間であげてもらいます。
これもよく用いられる課題です。
これらは、戦略を用いることも許されています。
例えば、動物の中の鳥で攻めたり、魚の種類をあげていったりするものです。
「か」と「動物」の課題はそれぞれ別の脳機能をみているとも言われています。
他にもいろいろありますが、今日はここまでにします